ここでは携帯電話で比較的よく使われていると思われるサービスをmineoのパケット放題を有効にして実際に使ってみた結果と感想を述べていく。
昼間の通信速度
まずは節約モード無効時に計測した昼13時前の通信速度から。
下り1.64Mbps、上り14.0Mbps。
これを良いとみるのか悪いとみるのかは丁度WiMAXの3日10GB超過時の制限速度が1Mbps前後であることも判断材料となるのではないだろうか。
WiMAX2+サービス ネットワーク混雑回避のための速度制限について|UQ WiMAX(ルーター)【公式】
私が過去に契約していた格安ケータイ事業者では昼間の混雑時間帯に通信速度が使い物にならないほど(具体的にはISDNやアナログモデム程度)まで低下するといったことが日常茶飯事であった。
そのため、比較的軽いWebサイトや通信速度が求められないサービスが快適に利用出来る程度の速度である概ね1Mbps程度の帯域が確保されることを目指して事業者が設備投資を行っているというのであれば前述のWiMAXの制限時速度から考えると比較的良好と言えるのではないだろうか。
実用編
ここではパケット放題の節約モード有効時に実際にサービスを利用し、実用に耐えるのかどうかを確認したい。
文字通信系(電子メールの送受信,LINEのメッセージ送受信)
結果: 何ら問題ない。
通常のWeb閲覧
節約モード有効時は通信速度が制限されるものの、読み込みの開始時に一瞬通信速度を高速化することで体感速度を向上させる「バースト伝送」に対応しているため、軽いページであれば実際の使用感はさほど悪くはない。
Yahoo!やGoogleを表示すると登録しているユーザ情報が表示されることから都合が悪いため、ここでは京都新聞のWebサイトを読み込ませてみた。
特別軽いページではないため読み込みに時間がかかっているものの、待てばきちんと表示され、文字だけであれば画像の読み込み前にある程度確認出来るのではないだろうか。
結果: 使えないことはない
Google Maps
外出時に現地の情報や目的地への道順を再確認するのにサービスエリアや道の駅などの休憩所、コンビニの駐車場、喫茶店やファストフード店などの飲食店で地図サービスを用いることが多い。
別にカーナビを用いても同じようなことが出来るわけではあるが、あまり操作性が良くないこととエンジンが動いている状態でなければ使えないため、携帯電話やパソコンで地図サービスに頼ることになる。
上記動画の通り若干の引っかかりがあるものの待てばきちんと表示出来るため、使えないことはないのではないだろうか。
結果: 使えないことはない
radiko/らじる★らじる
まだまだラジオも情報を入手する手段としては有用である。
特に運転中や何か作業をしているときでも画面へ目を向けずに情報が入手出来るのはラジオの利点と言えるのではないだろうか。
私はニュースが聴きたいため、民放系はほとんど聴かないのとNHK第一で19時前に放送されている滋賀県内のニュースが聴取できないためラジオのサイマル配信を使う機会はほとんど無いが、一応使えるかどうかを確認してみた。
結果、最初の読み込み(バッファリング)に時間がかかるものの、それが終わってしまえば宅内の無線LANやWiMAXに接続している状態と変わらず、特に問題は無い。
結果: 問題なし。
定額音楽配信(YouTube Music)
片道100kmを超える長時間の運転時、ラジオばっかり聴いていても飽きるし、カーナビに取り込んだCDを聴いていてもいつかは飽きる。
そこで利用しているのが定額音楽配信。普段CDを買わないような楽曲も聴けてしまうため、ラジオや取り込んだ楽曲に聞き飽きたときでも配信されている楽曲を聴いていれば飽きることはほとんど無い。
結果、音質を厳しい目で見るとより高速な回線を用いた場合と比較して品質は落ちている可能性は高いものの、端末のスピーカーや安いヘッドホン、カーオーディオにBluetoothで接続してそのスピーカーで聴く分には実用に耐えないことはない。
特にロードノイズやエンジン音といった騒音の塊である自動車内で移動中に聴く分には全く不満はない。
結果: 問題なし。
動画系(YouTube,Amazonプライムビデオ,SlingBox)
長時間の移動時、運転中であればその休憩時間にYouTubeでミュージックビデオを視聴して暇を潰していることが多い。
通常であれば通信量が大きくなるため携帯電話回線で動画系コンテンツの視聴は避けたいところであるが、パケット通信オプションに申し込み、それを有効にしていれば通信速度に制限があるものの月次通信量に影響を与えることがないため、より積極的に利用出来るようになる。
結果、通信状況さえ安定していれば上記写真とハードコピーの通り標準画質であれば問題なく視聴出来る。
携帯電話程度の大きさの出力装置であれば特に気になることは無いと思われるが、標準画質であるため高解像度の出力装置を搭載したスレート型端末やパソコン、もしくは有線接続出来るルータを用いるか、端末をテレビに接続して視聴するというのは苦しいのではないだろうか。
それ以前に動画の何を見ているのか、動画の画質を見ているのか、動画の内容を見ているのかによって変わってくるが、後者であれば間違いなく問題は無かろう。
結果: 標準画質であれば問題なし。
電子書籍(dマガジン,Kindle)
結論から言うとdマガジンは実用にならない。
それどころではなく起動後に雑誌の表紙を読み込む際にタイムアウトする。素直に無線LANで使用するべきであろう。
Kindleに関しては一旦端末に読み込んだ書籍は快適に閲覧出来るが、読み込みが出来ていない書籍を取得するのには言うまでも無いが時間がかかる。
結果: dマガジンは正直使い物にならない、予め固定回線で取得しておくべき。
音声通話系(LINE音声通話,FaceTime)
家族割引のサービスを行っているMVNOは多いものの、MNO直接契約のように家族間通話まで無料となるところはまず無いと言ってしまって過言では無い。
一方で通話定額のサービスを行うMVNOはユーザのニーズの高まりに伴い増えてきたものの、家族間通話のためだけにそれを申し込むのは大げさすぎると考える人も多いことであろう。
そこで有効な手段であると考えられるのがLINEの音声通話やFaceTimeなどの所謂「IP電話」である。前述の通りパケット放題オプションに申し込んでいれば月次通信量に影響を与えることがないため、互いに同じIP電話サービスを用いれば実質的に通話し放題と言える。
結果、LINEとFaceTimeでは通信状況さえ安定していれば問題なく通話は出来た。Skypeでは試していないもののおそらく問題は無いと思われる。
結果: 問題なし。
サーバ管理(SSH,VPN)
ここではパソコンにUSBで端末を接続し、テザリングを行った上で検証する。
VPNに関してはここではL2TP over IPsecとSoftEther VPNを用いたが、どちらもファイヤーウォールやNAPT(サーバがファイヤーウォール内に設置されている場合)、NAT越え(キャリアグレードNATを用いるmineoでは端末にプライベートアドレスが割り振られるため)の設定が出来ていれば問題なく接続することが出来る。
まずはVMWare ESXiの管理ページを読み込んでみる。
右の開発者ツールに表示されている読み込み時間を見ていただくとわかるとおり、180000ミリ秒、すなわち3分かかっている。
ログイン後に管理ページが表示されるまでも小一時間かかっていた。
確かに「待てば使えない」ことはないが、その時間でカップラーメンに湯を入れたら完成していることからさすがにそう言い切ってしまうのは苦しいことであろう。
次はSSHで直接サーバに接続してみる。
こちらは特に問題は無い、以前にPHSの32Kbpsでも普通に操作していたことから500Kbps程度で何ら問題が無いのは予想通りである。
だが、mineo側の問題か、回線を所有しているソフトバンク側の問題か断定出来ないが、状況によってはパケットが詰まり、操作ができなくなることもある。
結果: VMWare ESXiの管理ページは使い物にならないが、SSHでコマンドライン操作なら十分可能。Xを飛ばす、VNCやWindowsのリモートデスクトップでGUI操作はまず難しいと思われる。
総合結果
音声通話系サービスや暇つぶしのためのエンタメ系コンテンツであれば十二分に使えるが、実用系サービスやサーバの管理に関しては若干不満が出る結果となった。
今後、実質的な値下げでパケット放題オプションの制限速度が増速され、緩和されることを願う限りであろう、仮にそうなればより使い勝手が良くなるのではないだろうか。
[…] 言うまでも無く、以前の記事で述べたとおり昼間の混雑時間帯の通信速度は他の格安ケータイ事業者と同じく極端に落ち込む。この点は割高であるからマシであると言うことはない。 […]