仮に隠したところでどのような利益があるのだろうか

公開日時: 2021年07月02日 21:22.00

auの「SIMロック解除」案内ページにnoindex設定、KDDI「暫定ページに設定したことによるミス」 - ケータイ Watch

携帯電話キャリアにとって直接的な「減収」や「契約者数」という指標に不利に結びつく「解約」という手続きに関して、それが自社サービスへの不満やそれに伴う他社への乗り換え以外の理由、具体的には利用者の死亡や海外への移住といった理由でも行われるにもかかわらず各社が解約の案内ページの検索避けを行っていたことは批判されて然るべきであろう。

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だが、SIMロック解除のどのような点がキャリアにとって不利な情報であり、積極的に隠したところで誰がどう得をするというのだろうか。

SIMロック解除が行われる背景

顧客がSIMロック解除を依頼する理由として考えられるものとして

といったことが考えられるが、単なる機種変更であれば契約は続いているはずであり、二つ目の国外での利用に関しても単なる旅行や短期での出張であれば日本国内の契約を残しておく人が大半であり、特に国外での利用を念頭に考えている場合ははじめからキャリアフリーの端末を購入するはずであろう。

一昔前と違い、今では各社が日本国内ではじめからSIMロックが施されていないキャリアフリーの端末を販売していたりする。

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他社キャリアへの移行に関しては後述する。

SIMロックが契約の継続に与える影響

というのも仮に端末がはじめからキャリアフリーとなっていたところで、それにより契約に影響を与える可能性は今では低いのでは無いか。

NTTドコモの利用者であれば当初より同社向けに販売されている端末にはMVNO向けSIMロックが行われておらず、同社から購入したロック付き端末を使っている場合、契約のみをNTTドコモ回線を借り受けて営業しているMVNOに変更しても設定を変更するなどの手間はかかるが、特に手続きの必要は無くそのままMVNO、例えば同社の回線を借りて営業を行う格安ケータイ事業者で利用することは出来る。

その上、今の格安ケータイ事業者の大半がNTTドコモの回線を借りて営業しているわけであり、同社のユーザは他社ユーザと比較して移行が容易な環境にあると言える。

だが、今までどれだけのNTTドコモユーザが格安ケータイ事業者へ移行したのだろうか。

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仮に今の携帯電話利用者の過半数が料金体系やサービスに対して不満を抱いているというのであれば、特に移行しやすいNTTドコモユーザはこぞって格安ケータイ事業者に移行し、同社の直接契約のシェアは1割を切り、その大半が格安ケータイ事業者に流れていてもおかしくはないわけであるが、今でも我が国における個人向け契約の3割弱を占めている以上、残念ながら現状そうはなっていない。

つまり、キャリアの移行に関してSIMロックが与える影響というのは小さい、すなわち移行しない理由はSIMロックにあると言い切ってしまうのはあまりにも暴論と言えるのではないか。

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一方、検討しないと答えた理由(複数回答)としては、半数強が「今の通信会社に満足している」と答えている。「解約違約金や手数料などの負担」を懸念する声は、2割弱にとどまっている。

「今の事業者に満足している」という理由を除いて、キャリアの移行を行わない理由として最も多いのは「手続きの手間」が挙げられている。

そんな手続きも今ではWeb上でMNP予約番号を取得し、それを格安ケータイ事業者に持ち込んでWeb上で手続きを行い、後に届いてくるSIMカードを差し替えて設定を変更すればそのまま利用できるわけであるが、NTTドコモユーザがそれさえもめんどくさいと感じている以上、auユーザやソフトバンクユーザも同じように格安ケータイ事業者へ移行するとでも言うのだろうか。

一昔前、auとソフトバンクの端末にはMVNO向けロックが行われていたことがあったが、auに関しては平成29年8月1日以降に発売された端末にはそれは行われていない。

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すなわちNTTドコモと今では条件は同じになっており、例えばauユーザが最近発売された端末で同社の回線を利用してサービスを行う格安ケータイ事業者(UQ mobile、J:COM MOBILE、mineo Aプラン)へ移行する分にはSIMロック解除の必要は無い。

先日発表されたオンライン専用料金プランにしても、auユーザであればキャリアそのものの移行が必要な他社が提供するahamoやLINEMOではなく、同じauが提供し、単に料金プランの切り替えだけでより簡単に手続きが完了するpovoや単に料金の見直しであれば同じauのサービスである段階式の「ピタットプラン」を検討する人が圧倒的多数と言えるのではないか。

一昔前と比較して

10年ほど前、iPhoneがソフトバンク専売でかつ同社の通信網の品質が低かった時代、同社としてはSIMロック解除の受付を義務化されてしまうと同じW-CDMA方式でサービスを提供し、より通信品質の高かったNTTドコモへ顧客が流れる恐れがあり、それを恐れて反対する可能性はあったかもしれない。

だが、今では各社がiPhoneを販売しており、都市部や人口集中地域で使う分には楽天モバイルを除いて各社とも実用に耐える品質が確保されていることから、そのような恐れを抱いたところで意味は無いのではないか。

明らかにキャリアのミスであろう

前述の通り、SIMロックの解除手続きに関する情報をキャリア側が隠したとして、それがキャリアの移行、すなわちauとしては解約されて利用者減少につながる影響は小さいわけである。

つまり、積極的に隠したところで何ら意味の無い情報である以上は単に同社の主張通り、Webページ作成時や公開時に発生したミスであると見て何ら問題は無かろう。

それ以前に、わざわざ批判することを目的に、いやそうなることを分かって携帯電話キャリアのWebサイトのHTMLソースを閲覧している「暇人」がいることに私も驚きではあるが。