ソフトバンク、楽天モバイルと元社員を提訴

公開日時: 2021年05月13日 20:16.00

おそらくソフトバンク側も同業他社からの転職者、具体的にはNTTドコモやKDDIからの転職者を一定数受け入れていると思われるが、同社は転職者が持っており、それを自社の事業で利用することで業務上有利になりえる可能性が高い知識や技術を一切利用していないとでも言うのだろうか。

ソフトバンク、楽天モバイルと元社員を提訴 - ケータイ Watch

元社員はソフトバンク退職後、楽天モバイルに入社。ソフトバンク退職時に営業秘密情報を不正に持ち出し、2021年1月に不正競争防止法違反で逮捕された。

持ち出された情報は、4Gや5G向けの基地局設備、基地局同士や基地局と交換機を結ぶ固定通信ネットワークに関する技術だという。

ユーザーの個人情報や、通信の秘密に関わる情報、あるいは法人の取引先情報は含まれていない。

業種を問わず同業、もしくは似たような事業を行う企業や部署に転職する労働者に受入先の企業から期待されていることといえばその労働者が持つ知識や技術であることは言うまでもない。

どこの企業であっても同業他社、もしくは他社の同じような業務を行う部署から関連する事業を行う部署に入社した中途採用者に全くの未経験者や新卒で入ってきた従業員と同じように一から研修を行い、持っている知識や技術を捨て、リセットせよと要求することはまず無かろう。

これまでの手続きを通じて、証拠保全を求めていた電子ファイルが、楽天モバイルが業務で利用するサーバーに保存され、なおかつ元社員のプライベートなメールアドレスから楽天モバイルの業務用メールアドレスに、複数のメールが送られており、「ほかの楽天モバイル社員に社内メールで開示されていた事実を確認している」とソフトバンクでは説明。ソフトバンクのプレスリリースによれば、楽天モバイルは裁判所とソフトバンクへそれらのファイルを提出した後、全て廃棄した、という。

そして「楽天モバイルが不当な利益を得て、ソフトバンクの営業上の利益を侵害したこと」「不正な行為で建設された基地局などが存在すること」を明らかにすべく今回の訴訟を提起するに至った。

そもそも、同業他社に知られてはまずい情報を他社に容易に持ち出せる状況を放置していた、すなわち杜撰な情報の管理を行っていたことやその情報を知りえる従業員を他社に引き抜かれる、すなわち重要な情報を持つ従業員に対して他社より良い待遇を提示できなかったソフトバンク側に責任はないのだろうか。

そう考えると、楽天モバイルに対する嫌がらせや妨害を目的とした訴訟であると見ても問題はなかろう。

楽天モバイルのサービスが実質的にADSLの代替となりえるサービスであることを考えると、今後自社のADSL利用者を代替サービスであるSoftBank Airや自社の携帯電話サービスで巻き取る計画を立てていると思われるソフトバンクにとっては実質的な競合となりえる。

その上、巻き取ったADSLユーザを自社の関連会社が運営している非通信事業へ誘導し、自社のエコシステムへの取り込みを図ろうとしていると考えられるわけである。

同じく元々非通信事業を営んでおり、その延長線上で通信サービスを行うソフトバンクグループにとっては楽天モバイルやその親会社である楽天グループは事実上「目の上のたんこぶ」である以上は妨害を行う意味や意義は大きいわけであり、その可能性は極めて高いと言えるのではないか。