顧客目線とは言うものの

公開日時: 2021年05月19日 01:23.00

君は自分が買いたくないものを顧客に売るのか(森本紀行) - 個人 - Yahoo!ニュース

投資信託を売る君よ

商業における顧客本位とは、商人が顧客の立場に身を置いて考える思考実験ですから、要は、商人と顧客との関係を端的に人と人との関係におき直すことです。

さて、そこで問いたい、金融機関で投資信託を売る君よ、人が人に対してなす行為として、君の行いは人の道に反してはいないか、仮に、そこに法令違反の事実はなくとも、また仮に、それが人事考課をよくすることだとしても。金融機関を経営する君よ、働き方改革とは職員を人として扱うことなのに、職員に人の道に反することを命じてはいないか。

みゆ☆彡 - 日記 - 利用者の意識が変わらない限りは無理

金融と同じようなインセンティブビジネスとして自動車や携帯電話が挙げられるが、どちらも顧客の意向を無視した営業を行なっていると批判を受けているわけである。

例えば自動車を購入する際、大して欲しくない同じような車種や色をディーラーの都合、具体的には利幅やノルマ、在庫処分といった事情で提案された。

もしくは決して必要とは言えないようなオプション、具体的にはETCやカーナビ、オーディオ、シートカバーといったオプションを営業マンが勧めてきた際、顧客がヘラヘラしながら「はいはい」答えてることに対して責任はないのだろうか。

西洋の近世において、普遍的な理念としての人が発見されるまで、人は、端的に人である以前に、生まれながらに何らかの身分に属するものとして拘束されていました。それから近代市民社会が成立し、長い時間をかけて、人を律する規範は、身分の秩序に従うことから、対等な人と人との関係において、普遍理性に従うことへと昇華してきました。

現在の日本では、伝統的身分制秩序は完全に消滅し、わずかの痕跡を家族制度に留めるのみとなり、その家族関係すら、一種の契約関係に接近しつつあります。しかし、人は、選択の自由のない身分から解放されれば、逆に、対等な人同士の関係を自由に重層的に構築し、そこに所属して生きます。そして、何らかの社会関係に属すれば、そこに固有の規範に拘束されるのです。

逆に言えば、売り手と買い手の立場が対等になれば売り手が買い手を選ぶということも普通に起こりえるわけであり、明らかに買い手の原因で起こった過失についても売り手が責任を負う必要はなくなる。

つまり、投資信託に関する取引を行う場合、買い手は投資信託という商品の性質を理解し、個々の商品について理解を深めたうえで購入することが前提であり、逆に売り手は顧客がそれを理解していることを前提として販売し、仮に顧客が不利益を被ったとしてもそれに関して今以上に責任を負う必要はなくなるわけである。

つまり、買い手としては今以上に自らの選択に対する責任が大きくなる可能性が極めて高いわけであるが、声高らかにそれを求めている人々はその覚悟ができているのだろうか。

大手キャリアの「オンライン専用プラン」を店頭で案内 その背景は?:元ベテラン店員が教える「そこんとこ」(1/2 ページ) - ITmedia Mobile

そもそも、大手キャリアのオンライン専用プランがここまで注目を集めているのは、「携帯電話料金を少しでも安くしたい」と考える人が多いからです。しかし、自分に合ったプランをうまく選択できない人も一定数存在します。

ITmedia Mobileの読者の皆さんなら「自分で調べろ」と思うのかもしれません。しかし、現実問題として、自分では調べられない人や適切な料金プランを判断できない人は少なからずいるのです。スマートフォンユーザー全員が高リテラシーというわけではないということでもあります。

あるスタッフはこう言います。

店頭に来てくださったお客さまの利用状況を調べてみると、(店頭で申し込める)段階制プランの方が安上がりというケースもそこそこあります。逆に、オンライン専用プランの「月間20GB」という容量を毎月ほぼ確実に使い切ってしまい、データチャージ(データ容量の追加購入)を前提にするとかえって高くなってしまうお客さまもいらっしゃいます。

理想は、お客さまが支払っている料金の内訳を自身で把握して理解することですが、残念ながら現実は理想に追いついていません。現実を踏まえると、たとえ受け付けできないとしても、あえて店頭でもオンライン専用プランを告知することで、それを契機にやってきたお客さまに“本当にピッタリなプラン”を提案するという手法はアリだと考えます。

今でも携帯電話を利用する顧客の中には自らの利用実態を理解していない顧客がざらにいると言われている。

以前にも述べたが、高額な料金プランや付加サービス、決して利用するのに必要とはいえないような周辺機器をキャリアの代理店が自ら判断できない彼らに対して無知をいいことに売りつけているのではないかと初心者に毛が生えたようなかつて某所で「厨房」と呼ばれていた連中が批判しているわけであるが、それに関しても仮に売り手と買い手が対等になれば「ろくに興味を持たず、商品について調べないお前が悪い」と言われるだけの話であろう。

前にも述べた通り、先日携帯電話キャリア各社が発表したオンライン申し込み専用料金プランに関して、顧客の他責思考という「甘え」に対するキャリア側からの意識改革を求める意味合いも強いのではないか。